地元石川が誇るブランド牛「能登牛」。地元名産品もコロナの影響を受けています。「今だからこそできることがある。」この状況に立ち向かうべく生産者・販売店そしてCOREZOが一丸となって能登牛をPR！
食べて応援！能登牛にエール！！
群馬から移住してきたと伺っております。どのような経緯があって能登で牧場をすることになったのですか。
私はもともと故郷の群馬で家業の畜産農家を手伝っていました。能登での牧場経営の話があったのが２０１２年。当時の石川県は、２０１５年の北陸新幹線金沢開業に向けて、県のおもてなし食材の開拓に力を入れていたときでした。能登へ視察に訪れた際、他にはない里山のロケーションに魅了され、能登での牧場経営を決意。人里から離れた静かな土地。一般に限界集落と呼ばれる人口減少地帯は牛を育てる上では非常に良い環境でした。それから準備期間を経て牧場が開業したのが２０１４年。出荷を年々増やしていき、２０１８年には県の施策目標であった年間出荷頭数千頭達成に寄与。能登牛ブランドの普及に従事してきました。４〜５月の緊急事態宣言の発令により、外食の落ち込み、旅館・料亭の自粛が一時的に起こっていたと思います。能登牛への影響はどれほどのものだったのでしょうか。 
３〜４月には種々の事情により出荷を見合わせざるを得ない状況が続きました。経費だけが掛かり、いかに手元資金でどのようにやりくりしていくかが生産農家の課題でした。幸いにも日本政策金融公庫のセーフティネット貸付制度や補助金政策の対応が早かったため、一時的ではありますがどの農家も逼迫した状況は回避できたと聞いています。
３〜４月に出荷されなかった牛たちはどうしたのでしょうか。出荷時期をずらして対応しました。実は今期ちょうど、「長期肥育」に挑戦していたところだったんです。平均２８ヵ月で出荷するのを、手間と経費がかかってでも３０ヵ月を越えて飼う。なぜ、長期肥育にしたかったのかというと、祖父の代から「牛は長く飼ったほうが、肉質がよくなる」と教えられてきたからです。それが近年科学的にも解明されてきており、能登牛で推しているオレイン酸は、３０ヵ月を過ぎると牛の体の中で体組織が変化しオレイン酸が向上していきます。３０〜３３ヵ月の間の脂質が牛肉にとって一番良い状態になるんです。 また今、雌の肥育にも力を入れていて、８８０頭のうち３３０頭まで雌牛を増やしました。有名ブランド牛の松坂、近江、神戸はほとんどが雌。人によって好みがあるものの、一般的に雌肉の方が繊維が柔らかくブランド力を高めるには、雌の牛肉でないと評価がなかなか上がっていかないためです。 これらの取り組みにいち早く取り組めていたおかげもあり、前年同月の成績を上回ることができています。牛の格付け基準（Ａ５、Ａ４…）以外に、ＢＭＳという、脂肪が赤身にどれだけ入っているかの12段階の指標では、平均値が去年より１ポイント上がりＢＭＳ10に。能登牛の定義でいうと、すべて能登牛プレミアムになったということになります。また、２０１９年１２月に行われた石川・福井合同枝肉共励会では、四年連続グランプリを受賞。２０２０年７月の共励会では出荷した14頭中11頭がＢＭＳ12、残り３頭がＢＭＳ11という輝かしい成績を収め、六連続でグランドチャンピオンに選ばれました。長期化するであろうコロナ禍での今後の動向、畜産農家のあり方についてどのように考えていますか。コロナの影響で観光客が減り、流通側では牛肉が余り始めている状態になってきています。そうなると当然肉質を厳しい目で見られることになります。能登牛だから価値がある、買ってもらえるという時代は正直終わったように思います。これからはより高い品質が求められていくでしょう。そのため能登牧場では「長期肥育」や「雌牛の生産」など、研究・努力を惜しまず質を高めていくことで利益を落とさない道を懸命に模索しています。また能登牛を健康に育てるために、通年で同じ温度の水を飲んでもらっています。これは能登牛の免疫力を高める効果をもたらし、安全で美味しい能登牛を皆様に味わって頂きたいという思いから始めました。全ては食べてくれる人の笑顔のため。おいしいの一言のため。それが畜産業を続けていく大きな励みになっています。
取材を通して・・・
企画を開催中！ 
３〜４月と新型コロナウイルスの影響で商流が滞った際、天狗中田本店さんへの影響はどうでしたか？
ホテルや飲食店を顧客とする部門は商流が滞りました。
天狗中田本店さんは特に仕入れ方法にこだわりがあるとお聞きしましたが、詳しく教えていただけますか。
小売店では珍しい「半頭買い」の方法で肉を仕入れています。これは部位ごとに購入することが主流である小売業ですが、半頭買いにより店頭ではさまざまな部位を取り扱うことができ、お客様の要望にも答えることができるんです。また、供給側には回転率が早く（仲卸部門があるため）、力のある小売店に良いものを流す傾向があるため、自然と本店には良い肉が入ってくるようになりました。今回はCOREZOとの共同企画で能登牛を一頭買いすることにより、さらに数量を豊富に取り揃えております。
能登牛の販売に非常に力を入れているとのことを聞いていますが、そこまでこだわるのには何か理由があるのでしょうか。もちろん地元産だからというのが大きくありますが、それ以上に能登牛の素晴らしさに私たちが惚れ込んだからです。甘み、旨み、胃にもたれないサラっとした脂。通常、霜降りというと脂がしつこく、後味に残ってしまうのですが、能登牛は脂身を食べたとしてもサッと溶けてなくなる。それでいて松坂牛や飛騨牛に比べて高くないというところがあります。能登牧場さんの牛については、毎回驚かされます。個体が大きく、サシ（霜降り）が腿まで続いているんです。一目で美味しいとわかるため売れ行きも良いです。高いお肉を買ったら当然期待感が湧くはず。その期待を美味しさが上回れば感動やリピートにつながる。良さを知っているからこそ食べた時の感動を私たちは多くの方と共有したいです。コロナ禍での家庭内需要増が能登牛周知の良い機会になることを切に願っています。
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